前々回に続き再び遡ってフランスアルプス地方オートサヴォワ県(Haute-Savoie)での夏休みのお話。このオートサヴォワ県の郷土料理は厳冬に耐えるためか?クリーミーでこってりとした料理が多く、そんな同地方の郷土料理が好きな私。宿のムッシュに美味しくていかにも地元っぽい郷土料理レストランを聞いて、早速調べて行ってみました。
まずある日の夜夕食に訪れたのは、宿がある村ティエ(Thyez)から30分~40分ほど車を走らせた場所にある標高1000メートルに位置する人口466人の村ブリゾン(Brizon)。
幾つかの家やレストランがあるだけで周りは自然以外何もなし。こんな場所によく住める人がいるなぁ~何て思ったけれど、このオートサヴォワ県に住む人達の大半はとにかく山好き、このサヴォワ地方好きで余所者を簡単には受け入れないと言います。
パリなどの都会から同県に移住してくる人達も友達作りに数年かかるとか。ま、逆にこのオートサヴォワ県にしろ、こんな場所に住んでいる人達からするとよくパリなんかで生きられるなぁ、って思っている事でしょう。
予約した時間より早く着いたのでちょっとお散歩。文明とはかけ離れた何だか時が止まってしまった様な感覚になる場所です。
さて、宿のムッシュから勧められた山頂にあるシャレーレストラン、レロカイユ( les Rocailles)に到着。
店内は典型的なサヴォワ地方のシャレースタイル。う~ん、こう言う雰囲気、好きです。
メニューを見てみるとチーズフォンデュ専門の様で、ただお値段の方はほぼパリのレストランと同じ価格。パリはとにかく外食が高く、大体パリ以外の地方都市や田舎ではかなり値段が安くなるのでちょっと予期していなかった金額ですが、レストランがある場所を考えると、材料運びも楽じゃないし?美味しいチーズは高いし?….等色々考えながら、彼が好きなセープ茸(ポルチーノ茸)のフォンデュをオーダー。
付け合わせはシンプルなサラダとサヴォワ産生ハムです。
勿論赤ワインもサヴォワ産のワインに。
まずこのサヴォワ産チーズフォンデュがパリで年に一回くらいスーパーで買って食べるフォンデュとは比較にならない程味が濃厚で、更にセープ茸(ポルチーノ茸)も混ざっているわけで、かなりコクのある美味しいフォンデュでした。
息子も彼も、そして私もチーズフォンデュが好きなので3人分頼みましたが、二人前でも十分でした。最後鍋の底に残るフォンデュは味がかなり濃くなっているので、このサヴォワ地方では最後にフォンデュに卵をかき混ぜて食べるそうです。日本の鍋?みたいですね。従って店員が最後に卵を3個かき混ぜてくれた為なんとか無理矢理平らげました(笑)。
かなり山道を車で登ってきたのですが、こんな所までわざわざ来るお客さんはいるのかな?何て思いましたが私達が出る頃には満員状態に。
次に、ある日のランチに再び宿のムッシュに勧められたレストランがある標高800~1600メートルに位置するアラッシュラフラス(Arâches-la-Frasse)へ。
こちらも宿から車で30分~40分くらい山道を登っていくのですが、カーナビが示すこの目的地は山のど真ん中にある駐車場。何台もの車が停まっていたのですが、肝心なレストランが見当たらず。。。ハイキングコースにもなっている様でハイキングしている人達に聞いて見ると、レストランまではここから歩いて30分、との事。宿のムッシュもレストラン予約時も店員から何も聞いていなかったので、焦って山道を早足で登っていきます。
後から、ここはレキャローズダラッシュ(Les Carroz d’Arâches) と言う冬のスキー場なんだ、と気付きました。
着いた先は、、、シャレーレストラン、アルパージュドラリオン(Alpage de l’Arion)。こんなところに!
早速注文へ。赤ワインをまず頼み、お水は湧き出ている山水を自分で汲みに行きます。
そして彼は野菜とグラタン付きサヴォワ風ホロホロ鳥(pintade)を。これぞ典型的なサヴォワ料理。よく冬のスキー場のシャレーレストランでこういうこってり生クリームたっぷりの肉料理が楽しめ、午後へのスキー再開へのエネルギーにもなります。
私はサヴォワ風オムレツ。オムレツの中はシャンピニオンやサボワ産チーズがたっぷり。パリのカフェなどで食べたり自分で作るエメンタールチーズのオムレツとは訳が違う!
息子は、お子様ランチ的な?サヴォワ産ハムにサラダ。彼と私は半分ずつシェエア。
料理も景色も空気も最高で、もう言う事なし。至福のひと時!
ちなみにこの周囲はブルーベリの産地で、デザートはブルベリータルトに。
ランチ後はレストラン前の池を後に、又駐車場まで行きとは違う山道を散歩がてら下って行きます。
多くの人がブルベーリーを摘んでいます。このブルーベリー、これ又パリで買って食べるブルーベリーとはわけが違い、知っていたらタッパーでも持って来るんでした。
冬にスキー場の途中にあるレストランはスキー客の休憩所としても使用されるのでともかく、このアルプス地方にはこのような山岳地帯の隠れた場所に?多くのシャレーレストランが点在していると思いますが、やはり誰かに聞かない限りこの様なレストランを自分で見つけるのは難しいでしょう。
2店ともとにかく正に行きたかった典型的なオートサヴォワ県郷土料理が楽しめる最高のシャレーレストランでした。