日本と同様、コロナウィルス感染の影響により3月17日からフランス国内全学校(保育園から大学まで)休校。しかし日本の親ほどはこちらの親は慌てる事がありませんでした。16歳以下の小さな子供がいる場合は両親のどちらかが仕事停止、しかし70パーセントのお給料を維持でき、業務遂行が完全に不可能になった社員には(つまり在宅ワークも不可能な場合)部分的失業制度と言うこのロックダウン中だけ失業し、企業再開時に又以前の契約に戻り仕事復帰と言うシステムで同じく70パーセントのお給料を維持。両システムとも企業は社会保険や政府から社員に支払ったお給料を全額還付されます。
勿論子供がいる親はオーガナイズ面ではそれなりに大変であったり、ストレスも溜まりますが、それでも経済的にはかなり有難いシステム。
そして数日前には、低所得層で子供が自宅にいる事でランチへの負担が大きすぎる家庭に300ユーロ(現在のレートで3万円弱)の支給をすると発表がされました。
フランスの公立学校の学費は無料、給食代と延長教育(16時半から18時)だけに費用がかかります。この費用も住んでいる地域により(都市部の方が勿論高い)、又親の所得にもより金額は一律ではありません。
例えば、ニュースで知ったのですが、フランスのある小さな地方の田舎の家庭では、学校給食が1日たった50サンチーム(70円以下)と言うかなりの安さであったので、この2ヶ月弱の在宅期間の子供への食費はかなり膨大になりそこで300ユーロ支給とは非常に有難い知らせとの事。
反対に、日本では母子家庭で子供の昼食を賄う為に母親自身の夕食を抜いて体重が4キロ痩せてしまった、と言う記事を読み、同じ年頃の子供を持つ母親として胸が痛みました。
そして、更にじ〜んときたのは、これ又数日前にこのコロナウィルス感染の大変な状況下の第一線で働く病院の人達。特にここ数年看護婦や介護者達の業務負担に対しての低賃金が問題化していましたが、彼等にも500ユーロから最高額1500ユーロ(5万8千円から18万円弱)の特別賞与が国から出される、との発表。当然であるべき事の様に感じますが、国からの感謝の意の表れですよね。
平行して、疫病下の第二線で働くその土地のエージェント、つまりコミュニティー維持に欠かせないにゴミ収集車のお仕事をされている方々、道の清掃業をしている方々にもパリ市は1日につき35ユーロ(約4000円)の賞与を出す事を発表しました。
国や市からの支援以外で自分達には何ができるか?と思うと個人としてはよく分かりませんが、ある日、息子を出産した病院から携帯電話に募金のメーセージが届き、そうか、そう言う事が自分にはできるか、何て思い、同病院、そして10年前に急性心膜炎で入院して大変御世話になった病院へも少額ですが寄付しました。出産にしろ、急性心膜炎での入院費は社会保険(国民健康保険)と個々で支払っている任意保険で全額支払われ、つまり支払い金額はゼロでした。
フランスはとにかく日本と比べ全ての税金(特に付加価値税、所得税、住民税等、そして特に社会保険料!)が高額で、その割には非常に快適さ、セキュリティーや衛生上での安心感、という物が社会的に欠如しておりそれが外国人としてのこの国への不満でもありましたが、現在の様な前例の無い疫病下で、フランス政府が下す決定には、ほほぉ〜と感心さえします。
資本主義という名の実は社会主義的なシステムのフランス。この様な大変な状況下でやっとこの国のシステムはそこまで悪く無いのかも? 何て毎日ニュースを見ながら自問、お高い税金はこういう時に役に立つのか、と納得します。
きっと人間と言うのは大変な状況に陥った時に初めてその時にそれまでの日常がいかに悪くなかったかを気付く訳で、フランスのシステムへの考え方はそれと同じかも知れませんね。。。